Spindle+LGBTを知る100冊

東京レインボープライドのレインボーウィークに紀伊國屋書店で「LGBTを知る100冊!」という企画が開催されていたのはご存知ですか?

この企画の選書を担当されたティーヌさんに、選書からも、それ以外からも、あの話題の本はどうなの?というところも交えてレズビアンにお勧めの本をピックアップしてもらいました。

 

ティーヌさんは元々LGBTが登場する小説を読む会「読書サロン」(月1回)を主催されております。ご本人もレズビアンでありスピンドラーさんです。

 

「LGBTを知る100冊!」企画の経緯

Spindle+スタッフ(以下S):今回この企画はどういう方向けに作られたものなのですか?

ティーヌさん:LGBT当事者とその家族から一歩外の方、例えばご友人や親戚、同僚や顧客など、「身の回りにLGBTの人がいるのかも」という認識を持っている人向けに選んでいます。そもそものセクシャリティの違いを知ってもらうための入門書、解説書、当事者やその周りの人々の生活を綴ったエッセイ、学校や教育、医療の分野の本や法律関係、LGBTの歴史、家族でも楽しめる絵本や文学作品、漫画など、様々なジャンルを取り上げました。「学校の図書館に置くのに最適」といった視点でも選んでいます。

 

LGBT文学作品のおすすめをまずは聞いてみた

S:早速ですがレズビアンにお勧めの本を教えて下さい!

ティーヌさん:レズビアン括りでもどういう事に興味があるかでお勧めの本は違ってきます。

文学的に構成が面白い物語が読みたい方にお勧めなのは、イギリスの作家ジャネット・ウィンターソンの『オレンジだけが果実じゃない』

アメリカのティーンに熱狂的に支持されたフランチェスカ・リア・ブロック『”少女神”第9号』等はいかがでしょう。

もう少しさらっとした爽やか恋愛ものが良い方にはレベッカ・ブラウンの自伝的小説『若かった日々』もお勧めです。

S:3つ、海外作品が並びました。日本の作品はいかがでしょうか。

ティーヌさん:日本のものも面白いものあります。紀伊國屋書店の選書にも入れている松浦理英子『ナチュラルウーマン』、この本は金字塔ですよね。

また今度ドラマ化され、中谷美紀さんがFTMの役を演じると話題になった『片想い』は東野圭吾の作品ですが、読みやすくてお勧めです。

ただ日本は今までLGBTものが海外ほど話題にならなかったり、また賞に入選してもあまり売れなかったのか、作家(当事者もストレートも)があまりLGBTがテーマの小説を書かない。残念ながらまだ層が薄いです。

一方アジアで初となる同性婚容認が決定した台湾では、映画賞も文学賞もLGBTをテーマにした作品が受賞するようになり、それからストレートの作家でも積極的にLGBTモノを作るようになりました。当然層が厚くなりますし、LGBTの問題の認知度もあがります。そういう影響を受けて今の政治を巻き込んだムーブメントがあるのだと思います。

S:なるほど!だから台湾は同性婚への動きも早かったんですね。

ティーヌさん:台湾作品と言えば、今年の群像新人文学賞に選ばれた台湾出身の李琴峰の『独舞』は是非買って読んで、感想を講談社に送って欲しいです。

日本のレズビアンコミュニティーで是非彼女の作品を応援してあげなければ、と思います。せっかく新人賞に選ばれてもレズビアンをテーマにした作品が売れないと思われると出版されにくくなってしまいますので、やはりまずは当事者が応援しないと!

S:紀伊國屋書店での選書には映画化で話題になった『キャロル』も入っていますね。

ティーヌさん:そうですね。これが、パトリシア・ハイスミスが亡くなるまで実名(※)で出版できなかった“保守的な国”アメリカという社会的背景も含めて読んでみるととても面白いです。

S:なるほど!社会的背景ですね。

ティーヌさん:物語の時代背景が感じられるものや社会とつながるものは好きですね。「LGBTを知る100冊!」の選考ポイントも社会性がある作品という観点は入れました。またあんまり不幸にならない話をセレクトしています。

見出し:カミングアウトをするときに参考になる本は?漫画のお勧めもきいてみた

S:家族や大事な人にカミングアウトする時に参考になるのはどんな本ですか?

ティーヌさん:『カミングアウト・レターズ』はお勧めです。手紙のやり取りから見える真摯な対話が感動的です。

室井舞花さんの『恋の相手は女の子』はレズビアンなら誰もが経験するであろう迷いを当事者のエピソードを交え丁寧に描いています。

またまきむぅさんの『百合のリアル』も当事者でない人にもわかりやすい教科書、入門書としてお勧めです。

S:ちなみに本は苦手なので、漫画のお勧めも知りたいのですが…

ティーヌさん:漫画だと『しまなみ誰そ彼』(1)(2)などはとても入りやすいと思います。一応ゲイが主人公ではありますが、主役クラスのビアンカップルが素敵です。11月に3巻も出ますね。

身近な差別を感じながらも新しい繋がりで生きていくストーリーも惹かれます。LGBTでもそうじゃなくてもどの立場でも読めるいい作品だと思います。

S:『青い花』なんかはどうですか?私は女子校羨ましいなと思うんですが。

ティーヌさん:ええ、その路線が好きな人もいると思うのですが、実は百合と呼ばれる作品は女子校の6年ぐらい限定の閉じた世界の話が多いんですよね。高校を卒業したらレズも卒業して結婚?みたいな。

S:あ、確かに。リアルにはレズビアンで一生過ごす人結構いるのにそういう話ってあまりないですよね。

ティーヌさん:日本のものはそういう話はまだ少ないですね。今後層が厚くなれば出てくると思うので、みんなでそういう本を応援しましょう。

S:変わり種だとどんなのがお勧めですか?

ティーヌさん:あの『攻殻機動隊』、実は原作の主人公は女性とセックスする女性なんです。映画やアニメでは全然そんな感じじゃないので、是非原作漫画を読んでみて下さい。

あと『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』これは面白いですよ。28歳で性的経験なし、社会に息苦しさを感じた作者のルポなのですが、作者がレズビアンかどうかは一切書いてないし最後までわからないんです。

とにかく寂しくて女の子の肌に触れたいという純粋で嘘のない動機が説得力あって面白いです。寂しい時に読んでみると共感できると思いますよ。

番外編。ついでにBLについてや、ティーヌさんの夢も聞いちゃいました。

S:専門外かもしれませんが、BLとかも読まれますか?

ティーヌさん:BLや百合も読みますよ。BLでおすすめなのは大島かもめ『猫背が伸びたら』です。登場人物にかっこいいビアンも出てきます。恋に落ちるプロセスが、肉体関係や依存ではなくて自己開示のプロセスなんです。本人が抱えるコンプレックスや葛藤も丁寧に描かれていて、自然に惹かれる気持ちに共感できキュンとします。

S:いや~、本当に色んな分野の本をご存知ですね。凄いです!最後にティーヌさんの夢ってなんですか?

ティーヌさん:LGBT文学賞を作りたいと思って今は情報を集めています。

S:素敵な夢ですね!それを盛り上げるためスピンドルとしても応援していきたいと思います。

 

※著者はサスペンス小説の大家パトリシア・ハイスミスだったが、当時センセーションすぎる内容のためクレア・モーガンという別名で「刺激の代償」というタイトルでの出版となった。

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